いきものに共通する「食べる」の基本を考える
「栄養」と聞くと、ヒトの健康やダイエット、筋トレ、サプリメントなどを思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし栄養は、ヒトだけのものではありません。犬や猫が元気に暮らすこと、牛や馬が草から体をつくること、魚が餌を食べて成長することにも、すべて栄養が関わっています。
このサイトでは、栄養をヒトの健康だけでなく、すべてのいきものが生きるための土台として考えます。
「栄養」とは何か。
「食べる」とは何か。
こうした問いをいきものを通じて考え、栄養についての理解を深めていきます。
栄養とはなにか
冒頭で、「栄養はヒトだけのものではない」とお伝えしました。
では、いきものに共通する「栄養」とは一体何でしょうか。
結論からお伝えしていきます。
栄養とは、生物が外部から必要な物質を取り込み、これを体内で利用することで、生命維持、体の構成、健康の維持や増進、生殖などの生命活動を行うこと
つまり、栄養とは”食べる”ことを通じていきものが行う”生命の営み”のことで、
”現象”であると考えられます。
図解:栄養の流れ
食べる
↓
消化
↓
吸収
↓
代謝
↓
活動(体を動かす・作る・整える)
↓
不要なものの排泄
上記の図、流れのすべてが「栄養」であるといえます。
おそらく、多くの方がイメージとは違ったのではないでしょうか。
では、私たちの中にある「栄養」のイメージはどこからきているのでしょうか。
栄養と栄養素の違い
栄養と同じように使われる言葉で、栄養”素”があります。
これらの言葉の違いを説明できるでしょうか。
それぞれの言葉の意味を見ていきましょう。
◦栄養・・・栄養とは、生物が外部から必要な物質を取り込み、これを体内で利用することで、生命活動を行うこと。
◦栄養素・・・一般に、食品や飼料中の成分として構成され、また消費される物質で、エネルギーの供給、生命の維持・成長・発達に必要で、不足により変化が起こる原因となるもの。
つまり、
◦栄養・・・食事、代謝などを含む”活動”のこと
◦栄養素・・・食べ物の中に含まれ、体内で利用される”成分”のこと
となります。
なんだか「栄養」よりも「栄養素」のほうがイメージに近いかも、、という方も多い気がします。
普段使われる「栄養いっぱいの食べ物」という表現は、少しばかりずれてしまった表現なのかもしれません。
さて、せっかくなので栄養”素”についてもう少し詳しく見ていきましょう。
3大栄養素・5大栄養素・6大栄養素とその役割
栄養素とは”成分”のことである、と理解いただけたかと思います。
この栄養素には、私たちに身近な種類分けが存在します。
それは、3大栄養素、5大栄養素、そして6大栄養素になります。
順にみていきましょう。
◦栄養素
3大栄養素:炭水化物、脂質、たんぱく質
5大栄養素:上記3栄養素+ビタミン、ミネラル
6大栄養素:上記5栄養素+水
となります。
今回はそこまで詳細には語りませんが、それぞれの栄養素についてもう少し詳しく見ていきます。
・炭水化物:糖質と食物繊維に分類され、科学的に炭素に水が結合したような化合物のため炭水化物と呼ばれます。糖質は主に私たちのエネルギー源となり、食物繊維は腸内の細菌を介して私たちの栄養を支える役割を持ちます。
・脂質:生物の体内に存在し、水に溶けず有機溶媒に溶ける性質を持つ物質のことです。単純脂肪、複合脂肪、誘導脂肪に分類されます。主にエネルギー源や生体膜の構成、ホルモンの材料として体の機能調節にかかわります。また、動物の嗜好性を高めるのにも使われます。
・たんぱく質:アミノ酸が鎖状に連結した高分子の化合物です。機能的に多岐にわたる分類がありますが、主に体の構成、酵素やホルモンの材料として代謝機能の調整に関わります。またたんぱく質の構成要素であるアミノ酸自体も単体でエネルギーや生理活性に用いられます。
・ビタミン:いきものの体内で、代謝に重要な動きをしているにもかかわらず自分で作ることのできない化合物のことです。脂溶性と水溶性に分類され、生体内のさまざまの機能を支えています。栄養素ではあるものの、エネルギー源にはなりません。
・ミネラル:一般的な有機物に含まれる4つの元素(炭素、水素、酸素、窒素)以外の必須となる元素のことで、マクロミネラルとミクロミネラルに分類されます。体の構成や機能調節、生理活性物質の成分として利用されます。
・水:体重の約60-65%を占める栄養素です。体液として、体内の環境を一定に保つために重要になります。栄養素の消化吸収や運搬、老廃物の排泄、体温の調節など多岐にわたる役割を持ちます。
このように、栄養素というものは私たちの栄養を支える極めて重要な成分であるといえます。
図解:栄養素とは

ピラミッド型をしていますが、重要度の順位、というわけではありません。
すべて、「栄養」に必要な「栄養素」という認識になります。
栄養はいきものによって異なる
ここまで、私たちにとっての「栄養」についてみてきました。
ここからは、「栄養」に関してより理解を深めるために、いきものを通じて学んでいきたいと思います。
いきものによって異なる栄養素
先の内容では、私たちを支える栄養素について学んできました。
これらの栄養素は、共通していきものの生きる土台となります。
しかし一方で、実はそれぞれのいきものによって異なることもあるのです。
下で、それぞれ一例を見ていきましょう。
◦ビタミンC
ビタミンCはヒトにとって体内で合成ができないため、極めて重要なビタミンになります。しかし、イヌやネコにとってビタミンCは体内で合成が可能であり、必ずしも必要量を摂取しなければならない成分ではありません。
そのため、厳密な定義からいうとイヌやネコにとって、「ビタミンCはビタミンではない」ということになります。
◦必須アミノ酸(EAA)
たんぱく質の評価基準として、「アミノ酸スコア」という指標が用いられることがあります。この指標は「必須アミノ酸1」のバランスによって評価されますが、この必須アミノ酸も動物の種類によって異なります。
私たちヒトの必須アミノ酸は9種類存在します。一方で、私たちに身近な存在であるネコは10種類のアミノ酸が必須アミノ酸となります。ネコではタウリンというアミノ酸の合成能力が極めて低く、外部からの摂取が必須となります。
- 必須アミノ酸:アミノ酸のうち、生体内で十分に合成することでができないため、外部からの摂取が必須となるアミノ酸。ヒトでは9種類存在する。動物種によって必須アミノ酸の種類は異なる。 ↩︎
いきものによって異なる「食べる」こと
栄養について少し詳しくなったところで、「食べる」ことについてもすこし考えていきましょう。
先に、動物によって栄養素は異なる、とお伝えしましたが、それならば「食べる」ことも異なっていそうです。
事実、「草食動物」や「肉食動物」という言葉をご存じかと思います。
これは、「食性」というもので、厳密な定義をさておいて平たく言うと「主にどんなものを食べるのか」です。
分かりやすく、肉を食べるなら「肉食動物」、植物を食べるなら「草食動物」といえます。このほかにも「雑食動物」「腐食動物」なんかもあったりします。
「栄養」の話と結びつけると、その動物がそのものを食べ、消化吸収し、活用できる、そんなものを食べているわけですね。
具体的な例でいうと、、
・ウシ、ウマ、ヤギ、ヒツジなど・・・草食動物
・イヌ、ブタ、ヒト、クマなど・・・雑食動物
・ネコ、オオカミ、シャチなど・・・肉食動物
・ハイエナ、ハゲワシ、ハエなど・・・腐食動物
といった具合です。
判断方法として、その歯のつくりや腸などを見るとわかったりするのですが、これもまたどこかのタイミングでお話しします。
いきものによって「食べる」ことにも違いはあります。
「栄養」とは「食べること」を通した「活動」ですので、広い意味での「食べる」にも注目していただけると嬉しいです。
いきものにとって栄養が大切な理由:まとめ
いきものにとっての「栄養」を学んできました。
栄養とは、食べ物に含まれる成分を取り入れ、消化・吸収・代謝することで、体を動かし、作り、整え、生命を維持する仕組みのことです。
そして栄養は、人間だけでなく、イヌ・ネコ・ウマ・ウシ・魚類など、すべての生き物に関わります。
やはり、「栄養」とはいきものの”生きる土台”とも言えそうです。
また、いきものごとに「栄養」は異なることもある、ということも学んできました。
一方で、私はいきものごとの「栄養」を考える上での、”知識”や”考え方”は共通するものであると考えています。
様々な生き物の「栄養」を考えることで、自分と家族といきものが元気に生きることができるよう、共に学び考え続けていけるといいですね。
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